作品詳細
DETAIL白虎
ストーリー
STORY
明治十五年ころ、自由民権の思想は遼原の火の如く拡がっていた。熱血憂国の士水上乙二郎は、恐るべき官憲の暴圧に抗しつつ各所でその血の出るような演舌会を開いていたが、警察の網は強力に縮まり、遂に東京から去らねばならなくなった。乙二郎に前々から心を寄せている玉ずしのお艶坊ともしばらく別れることになった。追われ、流れて、岐阜の町はずれの芝居小屋で、乙二郎は坂東駒十郎というなかなか気骨のある役者と知り合った。彼は乙二郎を励まし、力になってやると約束した。その小屋のお茶子に雇われていた登志は乙二郎と相引き合う気持ちを感じた。乙二郎の心は時と共に登志の清純さに傾いていった。その折、まずい事件が起こった。板垣退助がこの土地の演舌会で襲撃され驚いてかけつけた乙二郎を、真野刑事が捕えようとした。二人の格闘。乙二郎はちょうど手に触った刀の柄でなぐりつけ、真野はこん倒した。明くる日、真野の死亡が伝えられた。そして、刀の持ち主である登志の義父磯貝彦之丞が検挙され、自殺してしまった。乙二郎の驚愕、苦もん。その彼の前に漂然と現われた男。探偵刑事富岡英一。富岡は暗に、俺は知ってる、と乙二郎にほのめかした。乙二郎の苦悩は更に増した。その後の長い年月。追われる乙二郎と、追う富岡の、凄まじい心理の葛藤。乙二郎は心に深く決し、日本一の男になって、そのあかつきに登志にすべてを話そうと思っていた…。