作品詳細
DETAIL宵待草恋日記
ストーリー
STORY
大正三年の頃、画家竹久夢二は三十一歳にして一児不二彦を抱えて妻と別居し、画道に精進していた。芸術的理解も全くなく虚栄に日を送る妻たまきとの愛なき生活を清算した彼にとっての慰みはその若き女弟子彦乃の愛だけだった。二人の愛情は師弟の垣を越えて日に強くなり幸福な生活へ進む決意を互いに固めて行くのだったが、嫉妬するたまきによって親に中傷された彦乃はその後夢二と会うことを禁じられてしまった。“待てど暮らせど来ぬひとを宵待草のやるせなさ今宵は月も出ぬそうな”恋情に耐えかねて夢二は東京を離れて後援者鐘尾博士のもと、京都へと旅立った。京の地で必ず再会することを約して。彦乃の親友夏枝の好意に慰められつつ不二彦と彦乃を待つ夢二には鐘尾夫人千加子の義理に絡んだ邪恋がつきまとっていた。夏枝に会うことを理由に家を出た彦乃は一路京都に向かった。久し振りの再会に二人は山中温泉に楽しい日々を送って夢二は画に情熱を尽くした。しかし二人の幸福はまたも長くは続かなかった。ふとした風邪がもとで病の床に倒れた彦乃の宿に訪れたのは父親だった。鐘尾夫人の密告で駆けつけた父親は彦乃を連れ去った。再び孤独の中に発表した個展の成功も空しい夢二の所に来た報せは「ヒコノキトク」であった。