作品詳細
DETAIL泥の河
Muddy River
配給受託作品
ストーリー
STORY
まだ焼跡の匂いを残す河っぷちで、食堂を営む家庭がある。その一人息子で9歳になる信雄は、ある雨の早朝、橋の上で鉄屑を盗もうとする少年、喜一に出会った。雨に煙る対岸にその日つながれた、みすぼらしい宿船の少年である。船の家には銀子という優しい姉と、板壁の向こうで声だけがする姿の見えない母がいた。友達になったことを父・晋平に話すと、夜はあの船に行ってはいけないという。窓から見える船の家が信雄を魅惑し、不安にする。タ飯にその姉弟を招いて父母が暖かくもてなした時、喜一が歌をうたった。「戦友」であった。子供たちの交流が深まり始めたある日、見知らぬ一人の男が食堂を訪ねた。終戦直後、晋平が別れたかつての女房の病変の知らせである。不可解な人生の断面が信雄に成長を促していく。楽しみにしていた天神祭りがきた。だが、その祭りのさなか、喜一は握りしめたお金を落としてしまう。しょげきった信雄を慰めようと喜一は、夜、船の家に誘った。泥の河に突き差した竹笥に蟹の巣があった。喜一はその宝物である蟹にランプの油をつけ火をつけて遊ぶのである。船べりを逃げる蟹を追った時、信雄は喜一の母の姿を見た。船は廓舟と呼ばれていたのである。翌日、船の家は岸を離れた。信雄は曳かれていく喜一の船を追い続けて、初めて生きることの悲しみを自らの人生に結びつけたのである。
受賞歴
AWARDS
第5回日本アカデミー賞(最優秀監督賞・最優秀撮影賞・最優秀照明賞)