1947(昭和22年)/4/1公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
日活京都、同多摩川を経て松竹京都に転じた田阪具隆門下の芦原正監督昇進第一回作品。脚本は沢村勉の探偵劇。MSC所属となった轟夕起子、月丘夢路、水島道太郎が主演。高田稔、大映の伊沢一郎がそれぞれ特別出演。
キャバレーばら屋敷のマダム園田恵子にはかつて鮎川秀夫という愛人がいた。八年前のこと、彼は妹美代を恵子に託して出征したまま消息を絶っていた。恵子は父が莫大な借財を残してなくなり、その上美代や弟孝之の面倒をみるため、やむなく藤堂の甘言に乗って世話を受ける身となった。藤堂こそは鮎川たちの中隊長だった男である。たまたま現地で、鮎川は藤堂の悪事を目撃したため、脱走しなければならないような羽目に陥ってしまった。こうして戦死したと思われていた鮎川が、病に蝕まれた身体を突然恵子のもとに現した。藤堂は恵子が金を要求したことから鮎川の帰ったことを悟り、旧悪の露見を恐れた。その上恵子がこの機会に藤堂と別れる気持ちでいることを感づいて、巧妙なカラクリで恵子を絞殺してしまった。鮎川も病がこうじてついに死んだ。殺人事件はいやが上にも紛糾して、あらゆる関係者が容疑者にあげられるが、やがて真相が明らかにされる。こうして孝三と美代との新生のスタートが始まった。