1948(昭和23年)/3/2公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
細谷辰雄の製作。淀橋太郎の原作を斎藤良輔が脚色した。監督は野村浩将、西川亨が撮影を担当。清水金一もので、相手役に朝霧鏡子が選ばれている。
失業者秋山金太は思わぬことからアルコール工場の社長大川喜八郎氏の玄関番として住み込むことになった。願ったりかなったりな出来事であった。というのも大川氏の娘幸子が素的もないべっぴんでったからである。といったところで、幸子の方は金太など別にどうも思っている訳はないし、しょせんは磯のあわびの片想いなのだが……。金太の幸子に対する恋慕の情は、こりゃまた猛烈を極めている。そのために、性来そそっかしい金太がことごとに大失敗をやらかす。主人喜八郎氏が命より大切にしているという秘蔵中の秘蔵のつぼを、息子の一郎が割ってしまった、その罪を金太が引き受けると請合った。一郎は大喜び、あめを一ツくれた上、幸子のことも全面的に援助するということになった。金太はどうにかして幸子の関心を自分に向けようと焦りにあせった。喜八郎氏は慌て者で愛きょうのある金太を好ましく感じているが、幸子の旦那になどとはとんでもない話で問題にならぬ。幸子には二人の有力な候補がいた。詩人野口青年と、新進歌手岡村青年である。お見合をかねてパーティが開かれた。女中のおよしは、戦死した息子に似てるというので金太を可愛がっていたが、息子のためのモーニングを金太に着せてパーティに無理矢理つき出したのである。岡村君は歌を、野口君は詩、そして金太はでたらめな踊りをやった。