1948(昭和23年)/3/15公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
企画は小倉浩一郎。脚本は鈴木兵吾が書き、高木孝一の監督作品。撮影は竹野治夫が担当した。主演は大日方伝、市川春代、その他に徳大寺伸、その他杉狂児、藤原釜足、若原春江らが出演する。
雪深い東北の寒駅から山麓の旅館「夕月」へ客をはこぶ馬橇の馭者眞太郎はかつて妻八汐を愛し得ず、八汐と別れ一子眞吉と共に東京からこの東北の街に昔の友「名月」の主人金助を頼ってやって来た。眞太郎は母のない眞吉を盲愛している。ある夜一人の女客がやって来た。彼女は八汐であった。八汐は眞太郎に追い出されてから、荒牧という真面目な医者と知りあいその診療所に働いて数年を経た。しかしどうしても眞吉が忘れられず、また夫の理解も求めたく、ついに夫を訪ねてやって来たのだ。荒牧は八汐の気持ちに同情し、彼女の幸せを見届けたくあとを追ってやって来た。八汐は眞太郎に会った。だが眞太郎はやはり昔と変わらず、彼女を理解しようとせず、それのみか眞吉に近づけようとしなかった。八汐はついにあきらめ、東京へ帰る決心をした。その夜山はカーニバルでにぎわい、眞吉もお千代につれられて出かけた。しかし山は猛烈な吹雪となり眞吉は雪の中にはぐれてしまった。急を聞いて捜索隊が出され、八汐はそれを知って狂気の様に吹雪の中へ飛び出した。駅から帰った眞太郎が驚いて雪の山に眞吉を探しにいった時、眞吉を抱き失神している八汐の姿があった。今にして、眞太郎は八汐の母の愛情を知った。