1948(昭和23年)/6/8公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
中山隆三が脚本を書き、川島雄三が監督する。撮影は長岡博之が担当。主演は佐野周二、徳大寺伸、幾野道子、その他に殿山泰司、山本礼三郎らが助演している。
銀行の金庫破りの容疑者辰三は頑強に口を割らず釈放された。同じ日釈放された秀は辰三にどこへでも連れてってくれと頼むのだった。辰三は秀をつれて山深いホテルにやって来た。そこに集まった辰三、精二、茂吉の三人こそ金庫破りの犯人だった。精二は夜の街で会った女、夏代をつれていた。夏代は彼の素性を知ったけれど彼女の心は逆に精二にひかれた。やがて三人は金を分配し、ズラかる手はずをきめた。秀は辰三に行きがけの駄賃にホテルの金庫を破っていこうとそそのかした。だが精二は秀を警察の回し者とにらんで無き者にしようと計った。精二を好きになった夏代はこれ以上彼に悪事をさせまいと秀に逃げる様にすすめたが、秀は黙ってその落とし穴に入った。そのため秀は彼等にのされてバスルームに放り込まれてしまった。精二に金庫破りを任せて辰三と茂吉は裏の林にのがれ精二が金をもってくるのを待った。辰三はふと茂吉が邪魔になって彼を刺して湖につき落としてしまった。明け方精二が金庫破りをやめてやってきた。辰三は怒ったが、精二の心にはすでに人間としての考え方が復活したのだ。それは夏代の愛情によるものかもしれぬ。彼は茂吉の殺されたのを知って辰三を心から憎み彼を殴り飛ばした。その瞬間、辰三はガケから湖に転落した。