1948(昭和23年)/6/21公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
企画は中野泰介。脚本は秋篠珊次郎のペンネームをもつ井上金太郎が書き、終戦後第二回の井上金太郎が監督。撮影は「夜の女たち」の杉山公平が担当。主演は山路ふみ子と黒川弥太郎、その他に鈴木美智子、吉川満子、阪東聖子、永田光男、近衛敏明、小堀誠、星ひかるらが出演。
火事、それは伝馬町の牢獄だった。そのため囚人たちは期日に必ず帰ることを言い渡されて三日間釈放された。囚人の一人お銀は、かつて昼は長唄師匠、夜は牛若お銀という板の間稼ぎ。そして一人の妹おつるが舞いの師匠になるのを楽しみにしていた。しかし清次郎という男がお銀のところへ弟子入りしてから彼女の運命は変転した。いつかお銀は清次郎を深く想い、そして思いを打ち明けるのだった。と「おれはお尋ね者だ、師匠に想われる様な人間じゃない」清次郎の言葉に、お銀は己の罪も告白した。そのとたんお銀の手に捕縄がかけられ、清次郎の手に十手が光ったのだ。清次郎は目明しだった。--お銀は釈放の身を同輩お源の家に寄せ、そこで妹おつると再会した。しかし間もなくお銀は恐ろしいことを知った。それはおつるが清次郎を恋し、清次郎はおつるの世話をしていることだった。お銀は殺意に満ちて清次郎と逢った。だが清次郎は、お銀を牢に送ってから、はじめてお銀が自分にとってなくてはならぬ女と気がつき、役目のため心をふみにじった罪滅ぼしに妹おつるを世話しているというのだ。またしてもお銀の心は動揺した。清次郎は二人で逃げようという。だが何も知らず清次郎を慕っているおつるを思うお銀はどうしていいかわからないのだ。逃げるため落ち合う約束のときが迫った。しかしそのとき清次郎は大ケガをしてしまう。それを聞いてお銀はかけつけた。