1948(昭和23年)/12/14公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は須佐寛。津路嘉郎と光畑碩郎が協同で脚本を書き、大庭秀雄が監督。撮影は布戸章の担当である。主演は柳家金語楼と月丘夢路で、それに殿山泰司、神田隆、徳大寺伸、日守新一の他、清水一郎、岡村文子、アキレタボーイズの坊屋三郎、山茶花究、益田喜頓らが出演。
その日丸金デパートでは大さわぎ。社長金兵衛が来店するというのだ。今デパート内では社長のもうけ主義に反対して従業員はヤミ商品の不売運動を展開しており、金兵衛カンカンになってまかり出たわけだ。ところが誰も社長の顔を知るものがない。金兵衛は息せき切ってデパートに飛びこみ、血圧が高いので階段をのぼるとぶっ倒れて失神してしまう。それを店員の三谷和子が助けて小使室に運びこみ、その日募集していた掃除夫の就職に来たものと間違えてしまう。一方支配人以下は社長の来店を首を長くして待っていたがついに現れぬ。小使室では和子の介抱で意識をとりもどした金兵衛はすっかりひっこみがつかなくなり、翌日から金兵衛は掃除夫になって現れる。和子は優しい娘で何くれと金兵衛の世話をする。金兵衛は小使いの小母さんの話から、かつて彼が捨て去った女の子供が和子だと知って驚く。一方社長金兵衛は不売運動を撲滅するため店員の給料を五割もあげ、一日慰問パーティーをひらいて牽制する。その日金兵衛は「父より」として和子に立派な贈物をする。和子は支配人から受けた贈物を「人を不幸におとしいれるような父の贈物はいりません」と突き返してしまう。掃除夫の金兵衛はそれをみて悲しく思う。そのころ店員たちは社長の策略に気がつきパーティーをとり止め不売運動デモ行進を行う。掃除夫金兵衛は自ら「社長反省せよ」のプラカードを担いで和子と腕を組み行進に加わっていった。