1948(昭和23年)/12/29公開
配給:松竹(受託配給) 製作:プレミアピクチュア
シミキンシリーズを手がけた山口松三郎製作、脚本は斎藤良輔が執筆、佐々木康が監督する。キャスト中の異色はロッパとシミキンの二大喜劇王の初顔合わせで、これに並木路子がや第二回シミキンの助演者堺駿二の出演もあり、他に坊屋、山茶花、益田のあきれたぼういず、霧立のぼるらが助演。
場末のアパート「春秋荘」には貧しいが陽気な人たちが住んでいる。緑太の主宰する楽団「ブルー・スターズ」の連中も下手の横好きのくせに大劇場進出を夢見て、アパートの人々の迷惑も省みず練習に余念がない。ところが一向に契約者も現れず、ましてアパートの間代もかさむ一方で、ともすればクサリがちな連中を、楽団の紅一点緑太の妹和子の明るく美しい歌声と笑顔が支えていた。中でもクラリネットの三平の和子に対する執心は一通りではないらしい。その和子が近ごろ練習中に時々雲隠れするので、心配した緑太と三平は後をつけて、和子が公園で若い男と語り合っているのを見つけてしまう。詰問された和子は、その男は村川金六という洗たく屋で音楽が飯よりも好きで緑太たちの楽団への熱烈なる入団希望者であると話す。そこで緑太が金六に合ってみると驚いた。いつか電車の中で大けんかした男なので早速追い返し、和子にも交際罷りならぬと命令した、和子は聞き入れず金六と手に手をとって伊豆へドロンをきめ込み、この問題で金六の姉とみ江と緑太は知り合う。かくするうちに楽団に思わぬ染劇場からの出演申込みがあり、一同ハリ切るが一枚看板和子のいない為に一日で断られそうになる。そこで緑太と三平は和子のもとに出向くが、和子は金六も一員でなければとダダをこね、ついに金六も加わることになって東京に帰ろうとした時、和子は街のボス吉田の手により誘拐される。