1949(昭和24年)/1/11公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は石田清吉雑誌“婦女界”掲載の小糸のぶの原作「結婚解消旅行」を柳川真一が脚色し、「初夜ふたたび」と改題されたもので演出、撮影は高木孝一、竹野治夫がそれぞれ当たる。出演者は佐野周二、折原啓子、高橋貞二、津島恵子、杉狂児、佐伯秀男、清水将夫など。
浩輔は役所の課長を勤めであるが、お役人生活は楽ではない。課長夫人俊子のミシンの内職でも追いつかない。どうも最近二人の間がしっくりいかないのも今の世の中がそうさせるのだろうか。山といえば川と答える、右と出れば左と出る。「別れよう」「別れましょう」と遂にある晩二人の不満が爆発した。さて別れるとしても共有財産である茶箪笥・机はどうしようという事になるが、結局共有財産は売払い、その金で結婚解消旅行に出かける事に決まる。行き先は新婚旅行と同じ紀州路へ。白浜-串本-勝浦、皮肉な事には勝浦の宿の一室は二人が初夜を結んだ思い出の部屋。同じ宿には俊子の友人咲枝が夫藤川と泊まっていたが、派手な友人夫婦の振舞いが更に俊子の心を寂しくする。勝浦へ来る途中自動車にのせてくれた若い田島夫婦のかばんと自分達のかばんとが間違っていた事に気づいた俊子は、田島夫婦を追って瀞八丁へ行く。その後を浩輔が追う。瀞八丁には二人には目の毒である藤川夫婦も来ていた。俊子と浩輔は散歩に出た田島夫婦を探して山道に行き、浩輔はあやまって足を踏みはずす。俊子は狂気の如く夫の姿を求めて夫の名をよんだ。浩輔は間一髪というところで松の木に飛びおりて助かる。夫の姿を見失った俊子はがけ下へ下り、足をくじいて倒れる、その時ガッチリと俊子の身体を抱き起こしたのは浩輔であった。そして二人はしっかりと抱き合った、そこには微塵の嘘も見えなかった。