1949(昭和24年)/2/24公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
久保光三が製作に当たり、池田忠雄がアレキサンドル・デュマ・フィス「椿姫」より脚本を書き、中村登が監督に当たる。撮影は厚田雄春が担当。月丘夢路と龍崎一郎が主演し、津島恵子、井川邦子、佐田啓二をはじめ、文学座の杉村春子や清水一郎、岡村文子らがそれぞれ助演。
宮川真佐子は、歌姫の流星を誇るかのように傲慢で贅沢で、虚栄心が強いという。その記事を取ろうとして無造者の××雑誌記者中原浩二は親友伊藤の紹介で宮川真佐子に会う。パトロンらしい松下は嫌な目で中原を見下ろしていた。しかし中原はある一日「いい人間によってのみ、いい芸術は生まれるもんですよ」と言って、真佐子の本性を知る為彼女と一緒に映画、遊園地、ボートに乗ることによってそのベールを一枚一枚はがしていった。急に彼等は愛し合う仲まで発展していった。真佐子にしてみれば、母のため家のために幸福を知り得なかった。しかし今は愛情の誠実の喜びを知って、彼女自身彼女の周囲から山奥に浩二と共に立ち去った。幸福な日は続いた。真佐子の友、光子は何くれと面倒を見てくれた。突然、浩二の母が彼の留守に尋ねて「浩二を帰してくれ」と真佐子に願った。愛する人を奪われる切なさは真佐子もわかった。この母を救い、彼の許婚を救えると、去って行くことがすべてが解決するような気がした。それは真佐子は暗い過去をもつ女であり、歌声一つでどうにでもなるから。だが、浩二は絶望と自堕落に狂ってしまった。面影をたどって恒子を見つけたが、彼の心はますます苦しむばかりである。浩二の母は遂に己の非を悟り、真佐子に浩二を救ってくれと泣きながらすがった。しかし既に真佐子は松下と結婚していた…。