1949(昭和24年)/3/13公開 89分
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は小出孝。新藤兼人の脚本で木下恵介が演出。撮影は楠田浩之が当たる。出演者は佐野周二、原節子、佐田啓二、森川まさみ、坂本武に青山杉作、東山千栄子、村瀬幸子、永田靖らが出演。
自動車の修理業をやっている圭三の元へ、得意先の佐藤専務が縁談を持ち込んだ。相手は池田恭子という華族の令嬢だが、提灯に釣り鐘だと圭三は相手にしないが、熱心な佐藤に口説かれてとにかく見合いという事になった。さて見合いをしてみると恭子は予想した高慢なお嬢さんではなく、圭三はすっかり好きになった。佐藤から結婚承諾の返事を聞いた圭三は、ものすごく上機嫌。新調の服、新しい靴、派手なネクタイをしめて池田家を訪問した。圭三は恭子の家族の人達に紹介された。皆善い人達ばかりである。だが家族の中で一人だけかけているのは恭子の父の浩平である。浩平は詐欺事件の側杖で刑務所に送られていた。そして池田邸も五十万の抵当に入ってその期間はあと三月だと佐藤から聞いた圭三は金の為の結婚であったかと失望するが、恭子へ対する愛情は深まった。圭三は恭子と帝劇へバレエ見物に出かけるが、興味がなく、その帰途見た拳闘試合の方が結構楽しめた。恭子は趣味の相違を見てとった。恭子の誕生日を祝って圭三はピアノを恭子に贈った。恭子の弾くショパンの曲が良いのか悪いのか判らない圭三はガラガラ声を張り上げて故郷の民謡を歌った。圭三と恭子は刑務所に父を尋ねた。父の口から「金の為の結婚はするな」と忠告されて恭子の心は重い。そぐわない雰囲気のまま別れた圭三は自分と恭子は違う世界の人らしいと感じた。圭三はその翌日恭子に心の中を打ち明けてくれと頼む。その返事は愛情のない結婚に悩む恭子の姿であった。
毎日映画コンクール女優演技賞(原節子)