1949(昭和24年)/5/9公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
小倉浩一郎が製作を担当し、菊田一夫の原作から沢村勉が脚本を執筆、大曾根辰夫が演出し、撮影は太田真一が担当する。出演者は三宅邦子、桂木洋子、逢初夢子、毛利菊枝、菅井一郎と鶴田浩二がそれぞれ出演。
岸野タケは不良少女として「サンタフランチェスカ学園」に収容されている身である。タケにはカフェ「クロネコ」のマダムをやっているトシという母があったが、トシの情夫・横淵がタケにうるさく付きまとう為に家出して学園で生活をしているが、時々脱走を企てては失敗し、院長の棚橋女史と院長の席を狙う野心家駒沢女史にひどく怒られるが、女教師露原ゆき枝は温かくタケを慰めた。そういうゆき枝をタケは次第に信頼し、ゆき枝も学園の規則として偏愛は許されないが、人間の愛を知らぬタケを救うためには多少の偏愛は許されるであろうと考え、自分の持ち物などを与えた。そんな折、この学園に院長の一人息子省吾が復員して来た。女ばかりで経営困難の折でもあり省吾もここで一緒に働くこととなり、少女達に耕作、ラグビーを教え始め、学園はにわかに明朗になった。だが少女達の異常な人気はいつの間にか、ゆき枝から省吾の方へ移っていった。ゆき枝自身も次第に男らしい省吾に恋情を寄せ始めた。一方タケは持ち前のひねくれと、男への憎悪はゆき枝が省吾と仲のいのを妬み、絶望のあまりまた脱走し家に帰る。しかし横淵の悪事と誘惑を恐れて逃げ出し、タケを迎えに来た省吾に逢い、学園に戻る。明るい省吾の善良さにタケの心は一変し、省吾の事ならなんでも素直に聞くようになった。棚橋院長はこの様な省吾を心配し、タケを引き取る様にとゆき枝に電話を頼むが、彼女は嫉妬に負け、電話を「クロネコ」にかけてしまう…。