1949(昭和24年)/8/23公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
長沖一の原作『愛憎交響楽』より斎藤良輔が脚色し、原研吉が演出したもの。撮影は森田俊保が担当。出演者は佐野周二、月丘夢路、木暮実千代、若原雅夫、幾野道子、徳大寺伸、河村黎吉、殿山泰司などであり、往年の松竹蒲田スター川田芳子がカムバック出演。
明彦は行方不明から戦死を伝えられて数年後、わが家に引き揚げて来た。しかし妹とみ江が家出して東京に行ったと聞いて、すぐさま彼女を探す為に上京した。その時、彼にはもう一人尋ね求める女性、彩子がいた。彩子は明彦の子・明雄を抱えて必ず帰るであろう明彦を待っていたのであったが、叔父夫婦の強引な薦めで明彦の親友修太郎との結婚を一旦同意する。しかし愛のない結婚を恐れた彼女は、結婚式の日、明雄をつれて叔父の家を飛び出し、学校友達の美麻子の家に行く。その日、愛する明彦が帰還したことも知らず、明彦と共に美麻子の宅を訪れた修太郎の声を聞いて彼女は再びあてもなく表にとび出してしまう。友人雅子の紹介でキャバレーに勤めた彩子は、支配人大野の誘惑にそこを辞めねばならなくなってしまった。彩子と雅子のアパートに「叔父の家庭を乱さぬ様にキャバレーを辞めて下さい」と大野の甥の明彦が訪ねて来たのも彼の声を扉越しに聞きながらそれとは知らずに会わずじまいだった。生活の糧を求めねばならなくなり方策に窮した彩子は、大野のキャバレーにいた時の知りあい、映画出演を薦めてくれた芸能社社長の土方を訪ねるのだった。その仕事というのが深見という男の企画する、いかがわしい秘密写真であって、病気でたおれた女優の代役だと知った彼女はがく然としたが、もう遅かった。