1949(昭和24年)/9/13公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
第一回の坂本武のプロデュースで、広津和郎原作の「父と娘」より野田高梧と小津安二郎が協同脚色して、小津安二郎が監督、厚田雄春が撮影に当たる。主演には笠智衆、原節子の他に、杉村春子、宇佐美淳、三宅邦子、月丘夢路、三島雅夫をはじめ、坪内美子、桂木洋子らがそれぞれ助演。
曽宮周吉は大学教授をしながら鎌倉に娘の紀子と二人で住んでいた。周吉は早くから妻を亡くし、その上戦争中に無理した娘の紀子が身体を害した為、長い間父と娘はどうしても離れられなかった。そのために二七歳の年を今でも父に尽くし、父は娘の面倒を何くれとなくみてやっていた。周吉の実妹、田口まさも曽宮家に出入りして彼等の不自由な生活の一部に気を配っていた。このごろでは紀子も元気になり、同級生であり友達でもある北川アヤと交友していた。アヤは一旦結婚したが、夫の暴力にあい今では出もどりという状況。また周吉の助手をしている服部昌一も近々結婚するという。気が気でないまさは、何とかして紀子を結婚させようとするが、紀子は首を縦にふらなかった。一度は助手の服部と紀子を結ばせようと考えていた周吉とまさは、服部にはすでに許婚があると聞いて思い直し、新たに候補者を薦めるのであった。一方周吉と昔から親友である小野寺は、京都の大学教授をやっていた。たまたま上京した際、後妻をもらったことで紀子に不潔であると言われた。紀子はそれから父の動きをそれとなく伺っていた。叔母のまさは茶会で知った三輪秋子という美しい未亡人を心の中で兄の周吉にと考えていた、それを紀子に、彼女の結婚を進めながら話してみたが、紀子は自分の結婚よりも父の再婚に気をとられていた。紀子はそれからというものはなんとなく変わっていった。
毎日映画コンクール大賞:毎日映画コンクール脚本賞(野田高梧・小津安二郎):毎日映画コンクール監督賞(小津安二郎):毎日映画コンクール女優演技賞(原節子):キネマ旬報賞作品賞