1950(昭和25年)/1/8公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は小倉浩一郎。鈴木兵吾の脚本により大曾根辰夫が監督する。撮影は太田真一。主演は阪東妻三郎の一人二役。入江たか子、山田五十鈴で、これに山村聡、山本礼三郎などが出演する。
対峙する龍之介と左近。突然、隠れ家は爆破した。鉄心一味自ら爆破したのだ。一味は千賀を伴って鉄心の隠れ家に引き上げた。龍之介は千賀の在所を求め、お高祖頭巾の女お夏を追跡する。そして左近になりすましお夏の口から彼らの背後関係を聞き出した。隠れ家では龍之介に慕情を燃やす千賀の姿に、左近は暖かい眼を向け、千賀に手紙を書かせて龍之介に届けた。そのとき左近の腰に自分と同じ印篭を見て、龍之介は何か思い当たる感情を抱いた。やがて鉄心の隠れ家をつきとめた龍之介は遊左内膳正に報告した。しかし内膳正は幕府の醜状をさらけ出しがたく、内密にしたいから手をひいてくれと哀願した。龍之介は侍がいやになった。生命をかけて働いて来たこの大事が闇から闇に葬り去られることは。彼は泣き、植辰も怒った。そして植辰の言う、わしらは江戸八百八丁の町民が味方だということばに、龍之介は新しい覚悟をする。雨の夜、植辰一家を中心とする捕物陣は隠れ家を包囲した。千賀を助けようと地下室へ入った左近はそこで龍之介と再会した。運命は二人が幼時別れた双生児だと知る。二人は懐かしく名乗り合ったのも瞬時、捕物の混乱に陥った。千賀を龍之介に渡した左近は夏を求めて鉄心の部屋へ飛び込んだ