1951(昭和26年)/4/20公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は山口松三郎、雑誌『平凡』所載の鹿島孝二の原作から、伏見晁が脚色し、齋藤寅次郎が監督したものである。出演者は山内明、井川邦子をはじめとして、河村黎吉、坂本武、村瀬幸子、高橋豊子などの脇役陣、それに柳家金語楼、三遊亭圓歌、昔々亭桃太郎、川田晴久、久保幸江、近江俊郎など。
東洋電工に二十年も守衛をしている井上彦七は、社長川名公平の近頃機嫌のよくない訳は、息子房雄に見合い結婚を強いたため房雄が実母で婆やのお稲と家出してしまったことと見抜いた。彦七の姪佐喜子は、昼は会社に勤め夜はアルバイトに芸者をしていたが家出してから、昼は中学の教師、夜は流し歌手をしている房雄と知り合った。彦七はいずれ守衛長になる筈だったが、同じ守衛の横山利助はそれを横取りしようと人事課長鎌田と組んで、彦七の当直の夜泥棒の手引きをしたので彦七は責任上首になりそうになるが、佐喜子の聞き込みで、ちょうど来合わせた房雄と共に泥棒を捕らえた。これによって、佐喜子と房雄は結ばれ、お稲と共に川名家へ帰ることになったが、ひとり彦七の守衛長就任はいつになることかわからないのであった。