1951(昭和26年)/6/8公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は小倉浩一郎。藤原審爾の小説新潮に連載した小説「湖上の薔薇」から「殺陣師段平(1950)」のシナリオを書いた黒澤明が脚色し、大曾根辰夫が監督に当たっている。出演者の主なものは志村喬、鶴田浩二、小林トシ子、他に藤原釜足、清水将夫、毛利菊枝などの脇役陣それに岸恵子が重要な役で出演。
湖畔のホテルに人を殺して来た健が逃げ込んで来たが、ホテルの支配人弥造は無頼の徒であった前身を知る健を追い出すことが出来なかった。そして健の轢き逃げした老婆のことで小谷巡査がたずねて来たときも健のことを訴え出ることが出来なかった。弥造の孫娘由紀はそれを不審に思い真相を知ろうとしたが、健は彼女の清純な美しさにひかれ、これを獣欲の犠牲にしようとしたが果たさなかった。健の身代わりになった弟分次郎の情婦ユリは次郎を救って貰おうと健を訪ねて来て却って彼に犯され湖に身を投じて死んだ。そのことから警察が動き出し健の身辺が危うくなったので、由紀の案内で死んだ老婆の家に隠れた。そしてそれを機会にまた由紀を襲おうとしたが、その場に来合わせた弥造は、掌中の珠としている由紀の純潔が汚されたものと思って、健を湖上におびき出して猟銃で撃ち殺した。湖畔で釣りをしている小谷巡査の傍に弥造は立って、健を殺したことを告げ由紀のことをくれぐれも頼むのだった。