1951(昭和26年)/6/15公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は杉山茂樹、佐分利信の監督、主演作品として、「執行猶予」につぐもの。脚本と撮影は、共に「執行猶予」の場合と同じスタッフで、脚本は猪俣勝人、撮影は藤井静である。主な出演は、佐分利信と高峰三枝子、若原雅夫、三宅邦子、ほかに東山千栄子、水原真知子、河津清三郎など。
女子学生の小宮峰子は、母と弟妹の四人暮らしで、アルバイトをしながら通学していたが、ついに新聞広告を頼りに社交喫茶エトワールのダンサーとしてアルバイトにすることになった。船木は峰子に思いをよせて法外のチップをはずんでくれたので、峰子は滞納の授業料を支払ったり、新しい衣裳も作れた。しかし野球リーグ戦の夜、エトワールへなだれ込んで来た学生たちの間に、尊敬する佐竹教授の姿を見た峰子は傍にいた名も知らぬ学生の手をつかんで逃げだし、美しい星空の下で醜い過失をおかしてしまった。ある夜峰子が街の女と間違えられて困っている時、輪タク屋をアルバイトにしている学生仙石に助けられ、その夜を彼の下宿ですごしたが、仙石は一夜を机に向かって悩ましい想念に打ちかった。その翌日、連れ立って仙石と峰子は佐竹教授夫妻とのピクニックに誘われたが、楽しいその場に居たたまれず、船木と箱根へ逃避行の旅に出た。しかし公金費消の罪に苦しんでいた船木は箱根の宿で毒をあおり、峰子は取調べのため、警察へ連行された。夜が明けた警察の地下室へ、峰子を温かく引き取りに来てくれたのは、佐竹教授であった。