1951(昭和26年)/9/21公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は山口松三郎。雑誌『平凡』所載の鹿島孝二の原作から津路嘉郎が脚色、瑞穂春海の監督で同じく布戸章が撮影に当たっている。主演は鶴田浩二と角梨枝子。それに河村黎吉、吉川満子、高橋豊子、日守新一、市川小太夫、水原真知子、坪内美子などの助演。
銀座で袋物の老舗で知られた「折鶴」の若旦那浩二は、美貌で界隈の芸者達にも騒がれていたが、家業を嫌って毎日遊び暮らしていた。土建業大河内組の社長令嬢美也子と見合いをしたが、大学出でないので破談になったが、嫌々見合いをした当人同志がかえって好意を持ち合う結果になった。社長秘書の佐伯は、バアのマダム島子と深い仲なのに、社長に取り入り令嬢の婿候補となるが、彼は実は会計課長を抱き込んで、セメントの横流しもしているのだった。その相棒のセメント会社の杉浦は、新橋の分双葉の芸者千代香を金で自由にしようとするが、その千代香を想っている「折鶴」の古番頭守田は、北海道の炭坑夫になっても千代香の苦境を救いたいと、永年勤めたお店をやめようとする。浩二はそれを知って美也子から十万円借りて千代香を救い守田と結びつけてやる。そのため彼は父浩平と喧嘩をして家をとび出し、勤めたのが大河内組のトラック運転手の口であった。その上転がり込んだアパートの守田の隣室が島子の部屋だったので、佐伯の悪事も彼と島子の関係もつぶさに判ってしまった。男は大学出ばかりが大切でないと悟った大河内社長は改めて浩二と美也子を結ぶために銀座の「折鶴」を訪ねたのだった。