1951(昭和26年)/12/7公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は小出孝、八木隆一郎の原作より柳井隆雄が脚色し、大庭秀雄が監督に当たっている。撮影は長岡博之である。出演者は、笠智衆、三国連太郎、杉村春子、桂木洋子、佐田啓二、淡島千景の他に、小沢栄、坂本武、桜むつ子など。
伊村早吉の家は、自殺者の多い城の内濠の傍にあったので、彼の手で自殺直前を救われた者も多かった。ある晩、早吉はまたしても一人の娘を救った。市会議長梅澤の息子に妊娠の身を捨てられた房江だった。同じ夜、また一人の女性が早吉の長男寛一に救われた。一人きりの愛児を失って自暴自棄になったあさ子だった。寛一は新聞記者だったので、房江の事件を知ってこれを新聞紙上に暴いた。次男修二は房江を愛していたので房江をさらし者にしたと怒って彼女を伴って家出してしまった。梅澤はそれを種に房江の相手は修二であるといいふらしたので、寛一は苦境に立ってしまった。やけ酒をあふりに居酒屋へはいって行くとそこに救ってやったあさ子が身を落としているのに出会った。寛一は命を粗末に扱うなとあさ子を罵倒するが、この時梅澤の一派になぐり倒された。房江の父大島は、梅澤に買収されていたが、この有様を見て憤然告訴することにした。あさ子も寛一の真情に、看護婦となって甦生することになった。山寺の伯父快雲和尚の許に身をよせていた修二と房江も、寛一とあさ子もやがて結ばれることになるだろう。
毎日映画コンクール男優助演賞(笠智衆):ブルーリボン賞助演男優賞(笠智衆):ブルーリボン賞助演女優賞(杉村春子)