1952(昭和27年)/5/1公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は小倉浩一郎。鈴木兵吾が故林不忘の原作より脚色した「大岡政談」もの。大曾根辰夫が監督し、石本秀雄が撮影。出演者の顔ぶれは阪東妻三郎の二役、津島恵子、山田五十鈴、柳永二郎の他、三島雅夫、香川良介、戸上城太郎など。
千代田城御蔵番を勤める神尾喬之助は、元旦早々組与頭の戸部近江介を急先峰に、御番所の面々から、年賀の礼を尽さなかったと詰め寄られた。近江介は、懸想していた園絵が神尾の妻になった恨みもあったが、何よりも彼等が私腹を肥やしていることに対して実直生真面目な神尾が常に意見をさしはさむことを邪魔に思っていたからであった。彼等のやり方に堪えられなくなった神尾は近江介を斬って姿を消した。そして彼は江戸っ子気質の御用聞き壁辰と音松の好意で、これも曲がった事が大嫌いという通称喧嘩屋夫婦、茨右近とお紘の家にかくまわれた。その右近がまた喬之助から事情をきき、彼が残る不正の御蔵番一味十七名に天誅を加えようというのには大賛成、喬之助の自宅から園絵をひそかにつれて来てやった。喬之助は次々と不正役人を倒して行った。今や戦々恐々の彼等は剣豪神保造酒に喬之助を討つことを依頼したが、神保は園絵と引きかえにそれを承知した。騙されておびき出された園絵も、しかし魚心堂と名乗る当時名奉行の名の高い大岡越前守の親友に救われた。