1952(昭和27年)/9/11公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は小倉武志が担当、雑誌『面白倶楽部』所載の梶野悳三の原作から久板栄二郎が脚本を書き、岩間鶴夫が最初監督に当たったが、病気の為、原研吉がその後を受けてメガホンをとった。撮影は小杉正雄。出演者は、佐野周二、高峰三枝子、高橋貞二、紙京子、笠智衆、それに千田是也、小沢栄、信欣三など。
外房の漁港町には、土地のボスで民生委員の黒柳鉄五郎という人物が、「先生、先生」といって土地の人々の尊敬の的になっていた。娘房子も父を助けて、土地の人々のために働いていた。しかし新興土建屋古賀組が、この町を高潮から僅かに守っている砂丘の砂を工事のためどんどん切崩して運び出したとき、土地の人々が心配するのを、黒柳は何故かそしらぬ顔で見すごしていた。この土地へふらりとやって来た辰という男は、密猟船に間違って乗り組み、監獄へ送られた男だったが、古賀組の暴挙を怒って黒柳にかけ合った。しかし彼が相手にしないと見ると、戦友の寺の和尚のところに居候をしながら、砂丘に砂利を運び、波除けの杭を打ちはじめた。村の子供たちが、その仕事を手伝いはじめ、次第にその数を増して行った。房子も辰の手伝いをはじめた。高潮がやって来たとき果せるかな村はその被害を受け、幸作という子は波にさらわれた。村人の声は高まったが黒柳は相変らず動かなかった。そんな折、辰には別れた妻との間に正一という子があったが、その正一が彼を訪ねて来て病気になり入院してしまう…。