1953(昭和28年)/3/19公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
監督野村芳太郎のフィーチュア第一回作品。佐々木邦の原作を椎名利夫が脚色した。西川亨、木下忠司がそれぞれ撮影、音楽を担当。高橋貞二、三橋達也、坂本武、桂木洋子、笠智衆、日守新一、土紀就一、英百合子、新人高友子の他、多々良純、奈良真養、吉川満子など大船のバイプレイヤーが多数出演。
弊衣破帽派の旧制高校生堀尾吉晴、岩崎悌四郎らは、教師連が本省の視察官をダシに飲み会をやる、という情報に大憤激、料亭に押し上った。座敷を違えて踏込んだ彼らは、教師ならぬ町の有力者、横地弁護士を叩きつけ、その責任を負って人徳者安藤校長の辞職という大騒ぎになる。長男玉男の温和しさとひきかえ、次男吉晴のこの硬派ぶりに、父彦平、婆やのたきは青息吐息である。…三年後。今は大学生の吉晴は学生委員やら同輩のアルバイト斡旋やらにやたらに熱をあげているが、悌四郎はちゃっかりと鈴木初子なる深窓の令嬢と愛を囁き、証券会社への就職が決まるや、吉晴を仲人役依頼の使者に仕立てて高校時代の校長、今は彼らの大学の教授である安藤氏の許へさしむけた。安藤宅で吉晴は明朗な女子学生片岡道子に会う。初子の友人という彼女の尽力でこの縁談はめでたく成立した。道子が根強く勧めるまま極東紡績の入社試験を受けた吉晴は見事合格、はじめて道子が社長令嬢であったことを知る。しかし、上役の毛利部長が株の買占めで会社乗っ取りを策していることを、兜町の悌四郎から聞き、鉄拳沙汰に及んで会社を飛び出した。安藤教授の力添えで新聞社入りをした彼は悌四郎と協力、首尾よく毛利の非をあばいたが、彼自身も大怪我をしてしまう…。
ブルーリボン賞新人賞(野村芳太郎)