1953(昭和28年)/6/17公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作を小倉武志、原作を佐々木邦、脚色を椎名利夫、監督を野村芳太郎、音楽を木下忠司がそれぞれ担当。撮影は長岡博之。主な出演者は東山千栄子、三橋達也、月丘夢路、笠智衆、高橋貞二、淡路恵子、紙京子など。
貢二は鈍才で大学を辛うじて卒業し、賢兄の貢一が助力してくれたので銀行に就職することができた。貢二は姉芳江の夫の妹君子をひそかに思っていた。それを知った兄は早速交渉に行ってくれたが、派手好きの君子にはあっさり断わられた。失望落胆した貢二は出張先の京都で嫂貞子の姪春子に会い、すっかり参ってしまった。ところが銀行の頭取から貢二への縁談が持ち込まれ、見合いをしなければならなくなった。気のすすまぬ貢二は仮病を装って見合いに欠席したが、これがばれて兄はカンカン、誤解した嫂は里に帰るといい出す始末。嵐の中心に立った貢二はついに意を決して岩田頭取を訪れ、一切の事情を打明けた。頭取は彼の真意を認め、後から訪れた兄貢一に「立派な弟さんだ」といったので、兄も弟も見直した。やがてサンフランシスコ支店行きを命じられ、多数の親類知人に見送られて横浜を立つ貢二の横には新妻春子の姿がみられた。
ブルーリボン賞新人賞(野村芳太郎)