1953(昭和28年)/7/8公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
製作は山口松三郎。日本経済新聞に連載された今日出海の原作を、中山隆三が脚色し、佐々木啓祐が監督している。撮影は鶴見正二。主な出演者は市川春代、紙京子、川喜多雄二、草間百合子の他に、柳永二郎、三宅邦子等。
銀座裏の骨董店、翠山堂に務める立花房子の娘南美江は、勤務先の新聞社で、幼な心に愛し合った従兄の桐野夏樹に再会して互いの成長を喜んだが、二人の親同志は何故か彼らが近づく事を喜ばない。というのも、桐野産業社長である夏樹の父龍五郎が戦時中工場経営の為に行った不正の罪を、南美江の父が負って自殺したからだった。母の反対で新聞社を辞めた南美江は、同僚の十兵衛の調べで、立花、桐野家の反目の原因を知り、しかも母が現在の桐野産業の不振に乗じて、専務平川と結託して、会社を乗っ取ろうと策しているのを知る。桐野産業重役会の席上、平川達から不能を糾弾された桐野社長は遂に倒れ、駈けつけた房子も、夏樹、南美江から今までの醜い争いを諌められて、始めて心が解け、夏樹と南美江は結ばれる。