1953(昭和28年)/9/22公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
大佛次郎の「鞍馬天狗」シリーズ(サンデー毎日連載中)朝日放送の連続放送劇、また新国劇公演で劇化された「青面夜叉」を鈴木兵吾が脚色、野村芳太郎が監督した。音楽を木下忠司、撮影は竹野治夫が担当。新国劇の島田正吾、辰巳柳太郎を中心に、月丘夢路、嵯峨美智子、柳永二郎、三井弘次などが出演。
幕末。東白河三位卿に招かれた帰途、新撰組に襲われた鞍馬天狗は、前後の事情もあり、卿と新撰組との関係をいぶかしむ。天狗の命をうけて、黒姫の吉兵衛が東白河邸に忍び入り、カタバミ紋の武士が地下道より出入りするのを突き止めた。天狗の輩下是枝七郎左衛門が何者かに拉し去られたが、たまたまこれを行方不明の杉作少年を探ねて件の地下道に潜入した天狗は、地下室に幽閉されている是枝を見出し、救おうとする。しかし短銃をもった謎の武士の出現で成功しなかった。その帰途、桂小五郎から中川宮暗殺未遂が宮中で起こったことを聞いた天狗は、その犯人が件のカタバミ紋であることを確信、再び三位卿邸に乗り込み、卿を鋭く詰問する。苦しい応酬の末、卿は是枝の釈放を約束したが、暗殺事件を問いつめられて進退谷まった。父の危難をみて卿の一人娘彌生が放った短銃は天狗の左腕を射ぬく、…が、その後、暗殺事件の犯人も、杉作を奪って天狗の行動を封じようとした犯人も、すべてカタバミ紋の武士、佐幕に躍起となった兵庫奉行の作事方小山田内記であることが判明した。天狗の眼をのがれ、三位卿父娘ともども須磨の別宅に移った内記を追って天狗は西下する。