1953(昭和28年)/12/22公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
「あつぱれ五人男」「あつぱれ五人男」につづく斎藤寅次郎の江戸物パロディ喜劇。八住利雄の脚本、撮影は服部幹夫、音楽は加藤光男があたっている。アチャコ、伴淳、北上弥太朗、堺駿二、永田光男、益田キートン、千秋みつる、鮎川十糸子など出演者は斎藤作品のレギュラーである。
河内山宗俊は、松平出羽守の行列を乱した罪で捕えられそうになった少年三吉と母のお半を助け、松平の家臣北村大膳を脅して大金を取った。お半は三年前に江戸へ出た夫片岡直次郎を探していた。涙の身上話を隣家で聞いた慌て者の魚屋暗闇の丑松は、お半らをてっきり宗俊の妻子と勘違いし、宗俊に惚れている髪結おもんに告げたので、ここに一騒動あったが誤解は直ぐとけた。当の直次郎は花魁三千歳に会うため、スリまで働いている有様だった。宗俊は手切金を作るため苦心する。色好みの出羽守が質屋のアプレ娘お浪を腰元に出せと、家臣金子市之丞に命じて談判をしているのを知った彼は、お浪に首ったけの丑松をその許婚者に仕立てて出羽守の話を断り、質屋から五十両の礼金を取った。その金で直次郎と手を切ってくれと頼む宗俊に、三千歳は金には目もくれず、心で泣きつつ承知した。直次郎は妻子が来た事を知って驚いたが、今更このままでは会わす顔がない。この時お浪が出羽守の屋敷に浚われ、後を追った丑松も屋敷の牢に捕えられたと聞き、宗俊は寛水寺宮様の御使僧に化けて乗り込み、二人を助け出す一幕となる。