1954(昭和29年)/3/3公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
内外タイムスに連載された土師清二の原作を鈴木兵吾が脚色、大曾根辰夫、石本秀雄、鈴木静一がそれぞれ監督、撮影、音楽を担当している。出演者は高橋貞二、島崎雪子、嵯峨美智子、北上弥太朗、大坂志郎など。
鳥取藩の足軽白井権八は土壇斬りの御前試合で優勝した藩士本庄助七を凌ぐ見事な腕前を示した為、士分に取り立てられる約束であったが、これを妬んだ助七の父助左衛門の横槍で取り止めになった。怒った権八は助左衛門を斬り捨てた上、匿ってくれた恋仲のお富津の兄津下友右衛門を追手と間違って斬り殺した事も気づかず料亭村雨を営む友右衛門の叔母を頼って京に上った。権八を慕うお富津は巡礼姿に身を変え京に向かう道中、村雨を襲う助七兄弟と道づれになった。京に着いたお富津は権八と逃げ様としたが、無鉄砲に生き様と決心した権八は、お富津を振り切って独り逃れ去った。権八を打ち損じた助七兄弟はあてなき旅を続ける中に、美しいお富津を巡って争ったが、間もなく和解し、お富津は再び悲しい旅を続けるのだった。その頃、品川近くの鈴カ森に差し掛った権八は、雲助に襲われた旅役者を助けたが、雲助からは酒手を、役者からは助け代を取る程、ず太い人間に変わっていた。江戸へ入った権八は賭場の用心棒をつとめて生活していたが、ふとした事から吉原の幇間桜川小善平と知り合い、吉原を見物中、花魁小紫を見染め強引に掛け合った。全盛を誇る小紫が権八などを相手にする筈もなかったが、権八の強引さに負け二人は別れられぬ仲となる。一方、江戸へ着いたお富津はある夜、権八の居所を知った兄弟に引きずられて吉原帰りの権八を待ち伏せたが、助八は返り討ちに、助七は傷を負って逃げた…。