1954(昭和29年)/3/10公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
田中澄江と中村定郎の共同脚本を岩間鶴夫が監督し、生方敏夫が撮影している。音楽は加藤光男。出演者は若原雅夫、三橋達也、水原真知子、笠智衆、草笛光子、奈良真養、浅茅しのぶなど。
国史学を研究している佐貫駿一の下宿へ学生時代の親友八代が数年ぶりに訪れた。しかも意外な事に八代の細君はハル子であった。丸善の女店員だった彼女に学生時代の駿一は淡い恋心を抱いていたのだ。駿一は彼等の現在の荒んだ生活を眺めて胸が痛んだ。八代は翌日麻薬密売の疑いで留置された。駿一は二人の為に出来るだけの援助を続けたが、八代に横山サチ子という女がいるのを知ると、駿一とハル子はそれぞれの心で悩んだ。駿一の勤める飯島工業社長飯島千太は娘のひさよを駿一の妻にと考えていたが、後妻の銀子はひさよを通運省課長の柏原と結婚させて、危機に瀕している飯島工業を救おうと図った。ところが腹違いの妹まゆみが姉から奪うように柏原と結婚してしまった。だが飯島工業は破産し、飯島は駿一に「ひさよを頼む」と言い残して自殺した。ハル子の事で悩んでいた駿一はひさよこそ自分の妻だと悟り、ハル子も留置場で喀血した八代に、真の愛情をとり戻した。