1954(昭和29年)/9/29公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
松竹が純娯楽映画として企画した第一回作で、池田浩郎が監督。脚本は中山隆三が池田監督と共同で執筆し、片岡清が撮影。主な出演者は若杉英二、由美あづさ、北龍二の他、海江田譲二、戸上城太郎、市川段四郎、藤代鮎子、中山淳二など。
元和年間、近畿の雄藩十五万石三日月城主仙石忠興は病身のため世子秀丸に世継にさせようとしていた。だが秀丸は鷹狩の帰途に、若狭の白狐と呼ぶ野武士に誘拐され、お守り役稲葉兵部は責を負って自殺した。これは家老保科弾正が側室お妙の方と通じ、彼女の子竹丸に家を継がせるため野武士と共謀したのだった。兵部の娘桔梗は白狐を討つため男装して山へ向かう。同じ頃切支丹宗徒丹羽道雪が、刑場から白狐のため奪取された。実はこの白狐が真の若狭の白狐一族で、切支丹を信じ弱者の味方をする野武士だった。頭目の鶴千代は野武士鞍馬の六郎太や伊奈の太郎らが白狐を名のって悪事を働き、秀丸を幽閉したことを知る。六郎太はこの土牢には娘朱実以外は近よらせない。片目の太郎は朱実に恋慕し、兄と違って心の優しいかほるは、飛助を恋した。男装の桔梗は太郎と争うが、太郎から白狐は俺の敵だと聞かされ、六郎太の一団に加わる。鶴千代は秀丸が自分と瓜二つと開かされて驚くが、父道雪から真実を告白された。二人は忠興と亡き側室との間に生まれた双生児で、お家騒動を恐れた忠興は、当時仙石家の重臣だった道雪に鶴千代を預けたのである。白狐の山塞を狙った太郎等の襲撃は失敗し、桔梗は捕えられ、偽白狐の太郎こそ父の仇である事を知る。