1954(昭和29年)/12/22公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
若尾徳平が脚本を書き、酒井辰雄が監督する。撮影は関根重行、音楽は米山正夫の担当。出演者は花菱アチャコ、北上彌太郎、淡路恵子、大坂志郎、清川虹子、川田晴久など。
天下の副将軍水戸光圀は助さん格さんと漫遊の旅を続けていたが、東海道沼津の宿にさしかかった時、とある掛小屋で「水戸黄門漫遊記」と題する芝居が掛っているのを見つけ、面白がって見物していると、突然奉行配下の役人が乗りこみ座頭沢村藤蔵を召し捕まえてしまった。それは藤蔵の養女お菊に野心を抱く悪奉行西岡平太夫が、今度の芝居を理由に藤蔵を罪に落し、お菊を渡せば放免すると難題を吹っかけているのだということを知り、光圀は危いところでお菊を救った。それから光圀主従は、藤蔵一座と共に愉快な旅をしたが、やがて彼等とも別れ、掛川宿では老公と瓜二つの大和屋という商人と知り合い同宿することになった。光圀は大和屋が実は九紋竜の長次と云う札付きのごまの縄だと云うことを知ったが、長次のさっぱりした気持を見こんで一行に加えた。この長次は女に惚れっぽいのが悪い癖で、米原に近い渡し舟でも白狐のお柳という女いかさま師にフラフラとなり、そのため一行は胴巻を抜かれてしまった。責任を感じた長次の案で、その夜は土地の親分荒浜の安五郎一家の世話を受ける事になったが、丁度その夜、一本松の義平一家から果たし状が届いた。