1955(昭和30年)/3/1公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
『明星』連載の小説を棚田吾郎と舟橋和郎が脚色し、穂積利昌が監督、西川亨が撮影する。主な出演者は川喜多雄二、吉川満子、片山明彦、大坂志郎、淡路恵子、柳永二郎、水原真知子など。
有川貢は帝国発電の専務浅間剛造の書生をしながら大学へ通っていたが、令嬢久美子とすべてを許し合う仲となった。有川の学友吉野も彼女を愛しているが、剛造は岩部川ダム建設の汚職に連座し、それを吉野の父の融資で防ぐため、娘を彼と結びつけようとして有川を追いだした。その上、自分の持ち家に住むお信と由美の母娘も、有川に好意を持つ由美が彼と久美子の連絡を取ったのを知って追い出してしまう。有川が心変わりしたと誤解した久美子は、彼の子供を妊んでいるのを秘めて吉野と結婚した。傷心の有川は親友田宮の勧めもあって、卒業後、自分を慕う由美と結婚した。しかしこの二組の夫婦は決っして幸福ではなかった。吉野は有川の事を嫉妬して久美子に辛く当たり、久美子も彼に何の愛情も感じない。有川はやっと就職したが、取引先の社長秘書になった吉野の策略で失職する。剛造の汚職連座の噂が高まった頃、有川は田宮の勤める新聞社に入社し、この事件の真相をつく事になった。新聞の鋭い追求に責められた剛造はついに自殺した。千代子夫人は信州へひっこみ、事件の波及で失職した吉野は、久美子の生んだ多加志が有川の子ではないかと疑い、自暴自棄となり酒と女に溺れ喀血して倒れる。久美子は裏長屋の一軒に病気の夫を抱えて貧窮の生活を続けた。剛造の死に責任を感じた有川は、新聞を辞めて製紙会社に勤め、総務課長の地位についた。久美子は生活のためキャバレーの女給となったが、吉野はついに病死した・・・。