1955(昭和30年)/6/7公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
「八州遊侠伝 白鷺三味線」に次ぐ八州遊侠伝第二篇。『平凡』連載の小説を鈴木兵吾と安田重夫が共同で脚色、監督に岩間鶴夫、撮影に片岡清と同じスタッフがあたり、主演者も高田浩吉、島崎雪子、淡島千景と同じ顔ぶれを揃えたほか、近衛十四郎、海江田譲二、市川小太夫、柳永二郎、加藤嘉らも第一篇と同じ役で出演する。
小袖峠で秋山要助と刃を交わす白鷺の源太こと大岡源太郎は、悪役人忠馬の囲みを破り、お町と共に逃れた。一方、大利根河原で繁蔵一家は飯岡方を敗走させたが、忠馬の追手をさけ別れ別れに旅立った。繁蔵の家は妹お藤が一人で守り、源太はお町と共に古寺にかくれた。お町の父喜左衛門は娘の身を気づかって番頭留吉を遣わした。彼の顔を見てなぜか驚いた忠馬は、江戸へ向って喜左衛門の命を狙ったが、危うく源太に助けられた。繁蔵はひそかに笹川へ帰ったが、忠馬の指揮で成田の甚蔵に殺された。忠馬は更にお町を浚い、彼女に横恋慕する要助に預けた。江戸から帰った源太は忠馬の邸から留吉を助け出した。重傷の留吉は死の直前に次の事実を告白した。喜左衛門はかつて海神松右衛門と呼ばれた海賊で、島津藩の海上見付役忠馬と組んで、幕府へ献上の財宝と琉球渡りの名器白鷺三味線を奪った。忠馬はこの旧悪露見を恐れて喜左衛門の命を狙ったのである。要助はお町を檻禁したが、源太を思う彼女の真情にうたれ、秘かにお藤のもとに送り返した。喜左衛門もお藤にかくまわれていたが成田の甚蔵に殺され、忠馬はその夜のうちに源太らを暗殺しようと押しよせた。繁蔵の子分勢力富五郎らはお藤と共に忠馬に従う助五郎一家と対立し激闘となり、鉄砲隊に狙われた源太をかばったお藤は、秘かに愛しつづけた彼の身替りとなって死んだ。