1955(昭和30年)/7/26公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
八尋不二の脚本を酒井辰雄が監督し、服部幹夫が撮影を担当。音楽は池田正義。出演者は中村賀津雄のほか、山田五十鈴、諸角啓二郎、河野秋武、鮎川十糸子、小山明子、進藤英太郎など。
四国丸亀藩の足軽田宮源八郎は、藩随一の美人つじを嫁にもらって羨しがられていたが、そのことで私怨を抱いていた剣術指南役堀源太左衛門のために、不当な手段の下に八幡宮境内で無念の死を遂げた。身分低き者への藩の圧政により、赤児の坊太郎を抱えたつじは、家碌没収の上追放された。それから十五年、母つじと林山和尚に守られ立派に成長した坊太郎は、亡父のことを知って堀に対する復讐を誓った。母に武芸修業の旅に出る許しを乞い、坊太郎は厳重な警戒の中を江戸へ向う明神丸に乗込んだ。船中、坊太郎は旅の少女芸人一座と知り合ったが、中でも純情可憐な少女おきんは、坊太郎に色々尽した。そしてこのおきんの姉のお半や友達の加代達の暖かい援助で無事江戸に入り、しかも時の将軍家御指南役柳生飛騨守の門弟となることができた。一日、飛騨守は堀の腕を知るため師範代の大導寺平馬を四国に立たせ、更に坊太郎にも同道を許した。故郷に帰った坊太郎は、身体の弱った母を訪れたが、喜んでもらえると思った母から厳然と叱責され、泣く泣く平馬と共に江戸へ帰った。激しい修業の中にも、母を思って懊悩する坊太郎に、飛騨守も激しい叱責を与えた。奮起した坊太郎は、予て飛騨守から課せられていた一丈余の青竹を見事に跳躍して斬ることができ、欣喜雀躍として四国丸亀へむかった。遂に宿願の仇討ちの日が到来した…。