1955(昭和30年)/8/10公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
平凡連載の小説を犬塚稔と安田重夫が共同で脚色し、福田晴一が監督に、片岡清が撮影を担当。主な出演者は高田浩吉、大谷友右衛門、大河内傳次郎、宮城野由美子、浅茅しのぶ、近衛十四郎、岸恵子、伴淳三郎など。
岡崎藩士稲葉剛太郎は末を契った芸者小えんを助けようとし、過って上役を殺した。追われる途中、二人は役者中村歌右衛門に救われたが、小えんを旗本大野逸斎に奪われた。崖から落ちた剛太郎は蘭法医柴凌海と娘お梅に助けられて江戸へ向かう道中、三島で眼を病む歌右衛門に会い、凌海の治療で失明一歩前の眼病が治り、以来三人の間に強い友情が結ばれた。小えんは女の弱さから逸斎の囲われ者となり、彼女を求めて旗本屋敷を荒らす剛太郎も、お役者小僧と呼ばれる怪盗になり果てた。それを知らぬお梅は彼を慕いつづけ、また彼と同じ長屋に住む岡っ引き仁助の妹お妙も彼に心を惹かれていた。仁助はお役者小僧が剛太郎とも知らず怪盗の後を追求したが、剛太郎はこれ以上凌海父娘に迷惑をかけるに忍びず秘かに別れを告げた。凌海は大名に抱えられる事を嫌ったが、小えんを探すためを思って松平丹波守のお召しにより逸斎の邸へ行った。しかし医者を幇間視する丹波守に踊りをおどれと云われて怒り、今人気の歌右衛門を呼んで踊らせる、もし歌右衛門が来なければ切腹すると断言した。手紙をうけた歌右衛門は観客に事情を話して逸斎の邸へかけつけた。面目を失した逸斎は部下に命じて凌海に斬りつける。そこへ剛太郎が踊りこんで大乱闘となり、小えんは逸斎に斬られて死んだ…。