1956(昭和31年)/5/11公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
野村芳太郎が光畑碩郎と共同で脚本を書き同じく野村芳太郎が監督した明朗篇。撮影は井上晴二。主な出演者は高橋貞二、三井弘次、桂木洋子、伴淳三郎、幾野道子、関千恵子、桜むつ子、坂本武、三好栄子、桂小金治など。
浅虫次郎太は東京で恋愛結婚した妻の君子をつれて故郷である東北の町に帰って来た。君子を父の平太夫や、家業の酒屋をやっている兄の幾太に会わせるのが目的であるが、父親から結婚のお祝いとして十万円を貰おうという下心もあった。帰ってみると父親は兄と別居し、もと料理屋にいた八重と暮らしていた。次郎太達は幾太の家に泊ることになった。兄の家の生活は目まぐるしく、その上訳の判らない旧友が訪ねて来たりして、折角次郎太に会いに来た婆やのしげも手持無沙汰で帰ってしまった。二人きりになりたいという君子の計画した温泉旅行も次郎太の友人達が発起したクラス会とかち合って駄目になってしまい、君子は大むくれであった。クラス会の帰り、次郎太は友人で巡査をしている軽部の家によった。軽部は平太夫が八重の父でバクチ打ちの軍造を改心させた話をした。翌日、平太夫が慌てて幾太の家にやって来て八重に子供が出来たらしいといった。世間体を考える幾太は堕胎を勧め、父の気持ちを察したつもりの次郎太は、子供は自分の子として育てるから東京で一緒に暮らそうといった。ところが平太夫は子供が出来たのが嬉しくて仕方がないので子供達のいい草を怒鳴り散らす始末。