1956(昭和31年)/6/15公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
“主婦の友”に連載された流行作家北条誠の同名小説を、田畠恒男が脚色・監督し、布戸章が撮影を担当した。主な出演者は水原真知子、山内明、菅佐原英一、小林トシ子、杉田弘子、沢村貞子、滝花久子など。
執拗な康一郎の追求を逃れるため、勤務先を辞めた加奈子は、本の行商で生計を立てていたが、その窮状を救ったのは意外にも矢倉だった。彼は大道寺の先輩で、加奈子の姪美代子は、実は矢倉と加奈子の亡姉千代との間に出来た子であった。加奈子はある日、高知から所用で戻って来た大道寺の車に轢かれ、軽傷を負う。大道寺はこれがモトで康一郎と対決し、辞職せざるを得ない羽目に陥った。加奈子に対する矢倉の好意は、やがて噂の種となり、大道寺まで二人の仲を疑うようになった。一方、康一郎は事業の失敗から倒産に瀕し、自棄になった彼はまたもや加奈子を熱海へ誘い出した。だが、その場に駈けつけた章子の変わらぬ愛情は康一郎を翻然と目覚めさせた。大道寺も矢倉からすべての事情を聞いて自分の誤ちを知り、加奈子たちのいる旅館へ急いだ。数日後、矢倉の招きで湯ケ島に出かけた加奈子と大道寺、そして美代子らの顔は、久々に晴れ晴れと輝いていた。