1956(昭和31年)/7/13公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
「二等兵物語」「続二等兵物語 決戦体制の巻」に続く第三篇。南方の孤島にあえぐ二等兵は哀歓の喜劇。梁取三義の原作から、安田重夫が脚色、福田晴一が監督、片岡清が撮影を担当した。伴淳三郎、伊吹友木子、関千恵子、花菱アチャコ、幾野道子のほか、前二作同様山路義人、戸上城太郎、高屋朗、青山宏などが出演する。
昭和十九年六月、南洋の一孤島にたてこもって抗戦を続ける有本隊長以下の日本軍は、降伏を勧告する米軍の放送と連日連夜の空襲に脅えていた。我が古山、柳の二等兵組も、敵襲に加えて、古参組の召使同様の待遇に不平満満。上等兵達のスキを見てはサイダーをかっぱらったりしてウップンを晴らしていた。ある日、この孤島に、輸送船が撃沈された折、ボートで脱出した植物学者鎌田四郎を始め奈々子、増美、照代らの慰安婦が乗りつけて来た。久しく女に渇えていた上官連は大喜び。早速、二等兵の召使を使って山海の珍味で一同をもてなす。以前から島に居る看護婦達は忘れ去られて大ムクレだった。だが、ある日の空襲で食糧庫が爆破され食料に窮した一同は重湯をススル始末。そこで食糧徴発を命ぜられた古山と柳は土人の少女ポールや姉アレンと知り合い、酋長の死を嘆く未亡人プミリを笑わせたことから柳は新酋長に祭り上げられた。この頃、来襲して来た敵機が事故で海中に墜落し、アレンの家を訪れた古山と柳は、そこに潜んでいた黒人飛行士ジョージと重傷を負ったロバートを見つけビックリする。一時は敵意に燃えた二人もアレンの「人間に国境はない」という言葉に、医薬品を持ってこようと約束した。だが薬品の持ち出しは看護婦百合子達にバレ、古山らは制裁を受けるが、意外にも慰安婦の加勢を得て女同士の大乱闘となる。古山と柳は、アレンから日本語を習ったロバート達と次第に親しさを増すが、二人の様子に気付いた有本の命令で一同は逮捕され、古山と柳も銃殺されることになった…。