1956(昭和31年)/9/15公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
日仏人気スターの競演により、異国情緒豊かな長崎の町を背景に展開される悲恋の物語で日仏合作、イーストマンカラーによる作品。松山善三、ジャン・シャルル・タケラ、アネット・ヴァドマン、イヴ・シャンピが共同で脚本を書きイヴ・シャンピが監督した。撮影監督はアンリ・アルカン。美術監督は伊藤熹朔。主演者はジャン・マレー、ダニエル・ダリュー、岸恵子、ドイツの性格俳優ゲルト・フルーベ、野添ひとみ、木田勝二、浅茅しのぶ、その他山本和子、山村聡、浦辺粂子、関千恵子など。
長崎のある造船所に、フランスからマルサック技師が赴任して来た。彼はキャバレーの女などには無関心だったが、堀技師長に紹介された呉服屋の娘、乃里子に心惹かれた。彼女は弟妹の面倒をみながら、両親のいない店を切り盛りしている健気な女性。乃里子を通じて日本に興味を持ち始めたマルサックは彼女のフランス語の先生リッテルの離れに住居を移した。リッテルの妻は乃里子の友人慶子である。すっかり外人の習慣を忘れているリッテルと同様日本の生活に融けこんでゆくマルサックに、乃里子も愛情を抱き始めた。そこへ、マルサックの昔の恋人で女流作家のフランソワーズが、東洋に取材の傍ら訪ねて来た。乃里子との純愛に生きようとしたマルサックも彼女の誘惑に、旅先で昔のよりを戻してしまう。やがて、乃里子の妹冴子の結婚式が行われたが、乃里子の心は晴れない。長崎へ帰って来たマルサックはフランソワーズのホテルに移る。その頃、長崎は烈しい台風に襲われた。フランソワーズ共々避難したマルサックは、乃里子の身を心配し、嫉妬するフランソワーズを振り切って彼女の家に辿り着く。二人の間には再び愛情が甦った。しかし…。