1956(昭和31年)/11/7公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
高校を舞台にして描く青春映画。“読売新聞”連載の白川渥の原作から椎名利夫と野村芳太郎が脚色、同じく野村芳太郎が監督。撮影は井上晴二。主な出演者は有馬稲子、大木実、渡辺文雄、菅佐原英一、野添ひとみ、杉田弘子、田浦正巳、小山明子、中川弘子、佐竹明夫、その他、清川新吾、日守新一、浦辺粂子、吉川満子、東山千栄子、明石潮など。
神戸港を見下ろす高台にある楠ケ丘高校。音楽教師の千田杉子は若くて美人で生徒の人気が凄い。特に門馬元一がリーダー格のコーラス部男女生徒は、彼女の薫陶で周囲から嫉妬混じりに批判される。最近赴任して来た数学教師沼田運吉も坊ちゃん気質の抜けぬまま強引に彼女に近づこうとするがいつも体よく逃げられる。沼田赴任の日、職員会議で、門馬が高校生でありながら妻を持っているという噂が問題になる。うるさ型熊井女史の非難から門馬家を訪れた杉子は噂が本当であると知る。食堂を営む彼の家は祖父元助と二人きり、元一より二つ年上の妻ミヱはなくてはならぬ存在である。杉子は門馬を責める気がせず、校長と相談して事を穏便に運ぶが、その折、若い歯科医武田と知り合い、親しく交際し出す。杉子の寄寓している友人階堂優子の婿養子舜二郎は武田と中学時代の友人。だが結婚生活のうまく行かぬ優子は京都の鼓の師匠塩谷と親密、舜二郎も新興宗教に凝る義母と共に、ウラン鉱山に私財を賭けていた。病気で休みがちの杉子を、門馬らは心から慰める。楠ケ丘高校は東京での全国高校コーラス・コンクールに優勝、だが将来を約束し合うコーラス部の赤部晴介と神崎コヅヱは受験する学校を見に行った際に、上野で不良学生と喧嘩し、コヅヱは負傷して入院してしまう。