1957(昭和32年)/1/15公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
“傑作娯楽部”連載の陣出達朗の原作から八住利雄が構成、安田重夫が脚色、福田晴一が監督、片岡清が撮影を担当する。イーストマン松竹カラー色彩で描く娯楽股旅篇。主な出演者は高田浩吉、高峰三枝子、瑳峨三智子、北上弥太朗、近衛十四郎、雪代敬子、高野真二、柳永二郎、清川虹子、島倉千代子など。
いかさま師高崎の仁蔵を斬って草蛙をはいたりんどうの政は、道中、信州の伊那富にやってくる。折柄、名物の馬市で村娘お君に横車を押す土地の親分がんりきの為五郎の配下をこらしめる。為五郎は政の素姓を知り、馬市の売上げを奪ってその罪を政になすりつける。そうとは知らぬ政、子分をこらしめた折、為五郎と約した通り神社の社務所へ赴くが為五郎始め村中総出の追手を受け、逃げ場に窮してお君の馬小屋に潜む。彼を発見したお君は無実を告白する彼を、包囲から匿ってやる。探しあぐねた為五郎は、宿で政と隣部屋だった流れ芸者お銀と、逐電した夫伊太八を伜竜吉と追う鳥追い女お玉をさらって折檻。そこへ入って来た為五郎の子分は何と伊太八。彼が誤って殺したと思いこんでいる相手は存命とお玉は告げるが、女房を許してくれと頼む伊太八を為五郎は殺し、女二人を土蔵へ放り込む。殺しの現場へ通り掛った政は竜吉から次第を聞き、のぞきからくり屋のむささび勘太に偽手紙を届けさせ、それを信じた為五郎一家が総出で峠へ向かったすきに、お玉達を救い出す。口惜しがった為五郎は勘太を売上げ金盗人に擬す。勘太を救い出した政は共々旅篭桔梗屋に赴き、待ち受けた村人達に真相を説く。先刻の手傷に堪えかね「為五郎こそ真犯人だ」と絶叫して勘太は絶命。政は為五郎に果たし状をつきつけ、お君の兄茂助や村人達の助けを得て乱闘の末、為五郎一家を斬り伏せてしまう。