1957(昭和32年)/2/13公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
雑誌“小説サロン”連載船山馨の同名原作より猪俣勝人が脚色、穂積利昌が監督、同じく西川亭が撮影を担当する文芸メロドラマ。主な出演者は高橋貞二、川喜多雄二、杉田弘子、中川弘子、朝丘雪路、伊吹友木子、片山明彦、その他に野村浩三、柳永二郎、坂本武、北竜二、多々良純、斎藤達雄など。
久坂敦子、井汲早苗、中原千加子の三人は高校時代からの親友。敦子と早苗は医学生、千加子はバレリーナとして夫々の道を歩んでいたが、敦子の父欣之助が財界の大立物桑戸大造の企みで倒産の上、自殺した日から彼女の生活態度は一変。相愛の青年医師桑戸庸太郎を離れ、株商人福島大二郎と結びついて復讐を計画する。早苗は京染め老舗の父芳太郎の事業不振でアルバイト女給。だが差押えの相手が敦子と知り怒る。敦子は東京に事務所を設け、大造の祕書伊佐敬二を買収してその持株買占めに狂奔。ある日、父から離れ自活している庸太郎に会った敦子は、養父直樹の毒牙を逃れた千加子が同居していると知って妬ましさに動揺。だが庸太郎も早苗一家への仕打ちを考え、わざと冷たく接する。敦子の復讐計画は着々と進み、大株主望月も味方に引入れた上、政界ボス佐伯と大造の密会現場を女中よし江に探らせるなど準備は整う。しかし、よし江は大造に見破られ、身を犯された上に兼ねて思慕する番頭謙吉の写真を抱いて投身自殺。とも知らぬ謙吉は早苗を慕って東京にと来ていた。千加子の初舞台の日、敦子は株主総会に運命を賭けたが、福島と伊佐の裏切りで失敗。思いがけずも兄周治が、父が自殺に用いた拳銃で大造を射殺する…。