1957(昭和32年)/3/26公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
お馴染二等兵物語の第四弾、本土死守の一篇である。原作染取三義、脚色は安田重夫。福田晴一が監督し、片岡清が撮影を担当した。出演者は、伴淳三郎と花菱アチャコのほか伊吹友木子、瑳峨三智子、北上弥太朗、関千恵子、加藤嘉など。
昭和二十年二月、二等兵古山源吉と柳一太郎は浜松に近い渋川工兵中隊へ配属された。中隊の二等兵達は新米が来るとこき使うが、同じ二等兵でも三年兵の二人はある夜、二等兵達を集めて古年兵の威力を示そうとした。が運悪く上等兵に見つけられ逆に散々にビンタを食らう。ある日のこと、材木の伐採作業中負傷した二人は陸軍病院へ入院する。数日後、病院の演芸会で一等をとった二人は外泊を許され、柳の家へ行く。古山は柳の妹の鞠子にたちまちのぼせてしまうが、折からの空襲と爆弾に気絶し面目を失う。焼け出された鞠子と母のトクは、鞠子の女学校友達太田笑子の二階を借りる。笑子は中隊の慰安婦だが何も知らないトク達は息子に会えると喜んでいる。中隊には、女形出身の青木二等兵、パッとしない中村少尉、軍人精神一本槍の渋川中隊長、意地悪い吉良軍曹などが居るが、然し古山達が感動したのは吉良軍曹の死だった。彼は爆発寸前のダイナマイトを除けようとして大勢の兵を救った代わり自分は犠牲になったのだ。ある日、母に食べさせようと柳が缶詰を盗んだことがバレ、顔のゆがむほど殴られた。そして唯一人打明けた古山が裏切ったものと思いこみ彼を痛罵する。その夜の空襲で民家が燃え上がったとき兵舎を守れという隊長の命令を無視して、古山は火中に苦しんでいる鞠子を救い出した。それにも拘らず冷い調子の柳。遂に二人が大喧嘩を始めようとしたとき、青木が自分が喋ったと言う…。