1957(昭和32年)/4/9公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
地方三紙に連載された高見順原作の映画化。清純な心をもった苦い婦人記者の生きて行く姿を、戦後派の男女やロマンスグレーなど、多彩な登場人物と尖端的風俗の交錯の中に描く異色作。斎藤良輔が脚色し、大庭秀雄が監督する。撮影は長岡博之、主な出演者は、小山明子と菅佐原英一、高橋貞二、田村高廣、ほかに佐野周二、渡辺文雄、川崎弘子、十朱久雄など。
婦人雑誌記者の中原久美子は旧友の笈川冴子の案内で喫茶店「G」に行き、戦後派男女の奔放な生態をみて驚く。翌日の編集会議では若い世代の恋愛を特集することに決り、評論家松井に執筆を依頼した。その頃冴子は貧乏画家津島との結婚生活に飽き金持の関根の世話を受ける。津島の友人で設計技師をしている大貫に呼び出された久美子は、初めて会った彼がかねて両親から見合いをすすめられている相手だと知った。久美子と同僚の記者勝田は大貫の存在を知ると、久美子へ積極的に愛情を示し始めた。一方、冴子は奔放な生活を続けていたが、愛に狂った先夫津島に顔面を傷つけられる。しかし彼女は、見舞にきた久美子や大貫の前で、これでさっぱりしたとうそぶくのだった。社用で大阪へ行った久美子は、母の法事にことよせて迫ってきた勝田の情熱の前にくずれそうになったが津島が自殺したとのしらせに急いで帰京する。編集部では久美子の反対を押して冴子に原稿を書かせることになった。自分も売り出さなくては、関根には新しい恋人ができたのだからという冴子。そしてその女を関根に引合わせたのは久美子の父であり、彼にも綾子という愛人が居ることを教える…。