1957(昭和32年)/5/7公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
“小説と読物”連載の陣出達朗の原作を鈴木兵吾と本山大生が共同で脚色、福田晴一が監督、片岡清が撮影した股旅もの。主演は高田浩吉、瑳峨三智子、流行歌手の三橋美智也、北上弥太朗、伊吹友木子。
あやめ祭の近づく故郷の潮来へ、闇討にあった父の仇を討つため旅に出た折鶴の秋太郎は五年振りに帰ってきた。彼が草鞋を脱いだ亡父の兄弟分藤蔵はたった一人の子分捨松と細々と遊女屋をやっている始末。おまけに仇の猪之松は中風で跡をついだ重三郎だけが一人悪業を振っていた。秋太郎はここへ来る道中、お美津という娘と道連れになったが、彼女は藤蔵の家で働くお浦の妹で、危篤の父に会わせるため、村人が工面してくれた五十両の身請金を持って来たのだ。だが、その五十両はお浦に言い寄っていた重三郎の手で奪われ、その上お美津の美貌に眼をつけた彼はお浦の代わりにお美津がここに残ればお浦を父に会わせてやるという。お美津は姉に代わって残った。しかし、お浦は帰って来るはずの刻になっても帰らない。彼女は帰途重三郎に監禁されたのだ。そんなことは知らぬお美津は、重三郎の迎えの駕籠に泣く泣く乗ったが、途中秋太郎の手で救われた。町中があやめ祭に沸き立つ頃、重三郎の悪企みの全てを知った秋太郎は喧嘩支度も凛々しく、単身重三郎の家へ乗り込んだ。だが、そこには重三郎一家はおらず一人猪之松が立つことも出来ず両手を合わせて助けを乞うていた。彼は男らしく父の仇を許した。そして重三郎たちの待つ果たし場へ…。