1957(昭和32年)/7/9公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
青山光二の原作を松山善三と、鈴木兵吾が共同脚色し、岩間鶴夫が監督した。撮影は同じく小杉正夫。主演は、田村高広、小山明子、高野真二。ほかに、柳永二郎、水戸光子、宮城千賀子、信欣三、諸角啓二郎、山形勲、渡辺篤、宮口精二など。
土地の顔役古島辰造と阿久津正武とは、「パール街」という繁華街の利権をめぐって激しく対立しており、そのために善良な「パール街」の人たちはそのとばっちりを受けて、いつも泣かされていた。辰造の息子でG大の学生菊男は、父親の非道にたまらない嫌悪を感じていた。そんな菊男に、バー「ドリーム」の娘で幼馴染みの由利は愛情を感じていた。彼もまた、ひそかに由利を愛していた。それだけに、由利たちを暴力によって不当に苦しめる父親が、余計に堪えられないのであった。そんなある日、またまた辰造と阿久津の小競り合いで、「パール街」の人々が迷惑を受けているのをみた菊男は、ついにたまりかねて弁護士の許を訪ね、自分が証人に立つから、父の非行を法廷に持出してくれと頼んだ。この話は直ぐ辰造の耳に入り、烈火の如く怒った辰造は子分の鉄火定に、菊男の指をツメさせろ、と命じた。しかし、人のいい鉄火定は、自分の指をツメて、その場をとりつくろった。それと前後して、辰造の妻浜枝と、市会議員藤木との情事が明るみに出た。辰造の怒りは、前にもまして凄かった。彼は浜枝をドスでたたき斬ろうとした。だが、菊男が身を挺して浜技を逃した。しかし、母の醜行を知った菊男は、絶望して家を飛出し、由利のバーを訪ねた。由利は、暖かく彼を迎えた。その由利も、菊男が今後の身の振り方を相談しに先輩のところへ出かけた後に、辰造と阿久津の対立の渦に捲き込まれ、阿久津側の拳銃に惨死してしまった…。