1958(昭和33年)/2/8公開
配給:松竹(受託配給) 製作:日映
水木洋子が書いた原作(NHK放送劇)を水木洋子自ら脚色、久松静児が監督した社会ドラマ。撮影は木塚誠一。主演は鈴木和夫など、この映画のために選ばれた少年たちを中心に織田政雄、岸旗江、岸輝子、左卜全、原保美など。
瀬戸内海の愛島は、岩石ばかりの小さな島、鯛の一本釣りをする親方によって支配されている。激しい渦潮の中で小舟をあやつるのは舵子といわれる少年たちで、労働と虐待に暗い日を送っていた。そこへ光男、悌三、幸太郎、太一、進、忠、一夫という七人の少年が、仲介人の猪造に連れられ、舵子になるためにやって来た。古くからいる鉄は親方の怒声と鞭によって、ほとんど無表情になっている。彼の親友直二は、鰯を盗んだというだけで、小さなエサ箱にとじ込められ、食物を断たれていた。鉄はそうした直二に、そっと食物をさし入れることによって、わずかに人間らしい心をとりもどすのだったが、新しく島に来た幸太郎等は、鉄の冷たい態度を理解することができなかった。やがて少年たちは、激しい労働にたえられず、島を脱出しようと計画する。幸太郎も、鉄の直二に対する愛情を知って仲直りした。盆踊りの夜、彼等が直二を訪れると、憐れな少年はエサ箱の中で飢死していた。いよいよ一同は脱出を決行する。鉄も直二の死体をかついで、少年たちのあとを追ったが、彼一人親方に捕まり、むごい仕打ちをうけた。これを見た分教場の吉川先生の娘絹子は、そっと鉄を自宅に引きとって看護するのだった。やがて脱出した少年たちによって、島の実情が明るみに出され、警察は調査に乗り出した。舵子たちにも新しい日がさしはじめたが、古川先生の家で元気になった鉄は絹子の親切に感謝しながらも、辛い思い出の島をたち去った。