1958(昭和33年)/3/23公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
丈化放送の放送劇「チンドン屋人生」を、沢村勉と富田義朗が脚色したユーモアとペーソスあふれる物語。穂積利昌が監督し、布戸章が撮影。主演は伊藤雄之助、岡田茉莉子、清川虹子、設楽幸嗣。色彩はイーストマン松竹カラー。
小学生のピンちゃんに、新しいお母さんが来た。父親の日雇い・亀吉が怪我をした時に、同じ日雇いのツネが手伝いにき、そのまま一緒になったのだ。ツネには連れ子がおり、姉の鳥子はレストランで働き、サラリーマンの井上と恋仲。兄の実は住み込みの商店員だ。ツネは暮らしを助けるためチンドン屋のビラ配りになった。ピンちゃんは仲間からそれを囃し立てられ、恥ずかしかった。けれどツネが学校や父兄のもとへ抗議に行き、先生が職業に貴賎はない、どんな仕事でも一生懸命やる人が偉いのだと皆を諭したので、ピンちゃんは堂々と母のことを綴方に書くまでになった。実君が主人の金・二万円を落とすという事件が起った。ツネはちんどん屋のコンクールに出場し、その賞品で金の返済をと思ったが、失敗して落選してしまった。長屋の連中は、同情して資金カンパを始め、ツネは金を返すことができた。鳥子は転勤する井上と結婚して一緒に行くことをすすめられるが、家のためを思ってあきらめる。ピンちゃんは家の苦しさを知ったことや、前の母が送ってきたセーターを着たのを怒られたことなどで、友達がくれた鳩を持って伊豆の前の母のところへ行った。ツネたちが探しあぐねたとき、彼の鳩が帰ってきて、その手紙で所在が判った。亀吉は彼に実母と暮らすように電報するが、ピンちゃんは再婚している伊豆の母の所もいやになり、父のところへ帰って来る。亀吉は喜び、そこへ先生が級友を連れてピンちゃんの母を讃える作文がコンクールで一等をとり、文集に載ったことを知らせてきた。「ぼくのお母さんはチンドン屋です。……」